えくぼと鹿と魚の子

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zoom RSS 「ジウ」終了

<<   作成日時 : 2011/09/25 02:38   >>

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例えば、気の合う仲間たちとの楽しい飲み会の席で、突然誰かが、ふと真顔になって、「どうして人は人を殺してはいけないんだ?」と言ったら、その場の空気はどうなるだろう。

まあ大体は、一瞬シラッとして失笑のムードになるか、その人がツッコミ役の誰かに頭をはたかれて一笑いあるか、ってところでしょう。

「どうして人は人を殺してはいけない?」という問いに場の空気をシラけさせる力があることは誰でも知っている。
そして誰もがツッコミたい気持ちを持ってしまうのだが、同時に誰もが100%完璧な答えを用意してその問いに答えることができないことも知っている。

こんな問いを掲げて新世界秩序"という思想(思想というほどの説明はなかったが)を軸に持ってきたこのドラマが、ちゃんと観てる人をシラけさせずに感情移入させることはとても難しい。

では、こんな問いは娯楽作品には不向きなのか、といえば、そんなことはないと思う。
誰もが完璧な答えでツッコミを入れられないという点を逆手に取って話を広げることは有効だし、実際人の生死をテーマに据えている物語は数え切れないほど氾濫してる。そしてちゃんと娯楽作品として成立させていて、感動させられた作品を観た経験も誰もが持っている。
この問いは、ちゃんと順序を踏んで準備をして、ある程度相応しい場所を作り上げた上で発せられれば、観る人の心を揺らすことができる。
それを私も観たことがあるし、つい最近にも、それはあった。
要は作り手の作品に対する覚悟の問題ではないだろうか。


多部さん演じる門倉美咲は、このドラマの主要人物の中で最もこの問いに反論できる資質を持った人物だった。そう描かれていた。
ちゃんと時間を割いて父親や母親との心の交流を持つ場面も描かれていたし、尊敬する男性に恋心を持つ可愛いシーンもあったりした。

門倉美咲はごく平凡に人生を生きて、現在の日常の倫理観を守る私たちの側にいる魅力的な女性そのものだ。

では、美咲はこの作品で、私たちの代わりにこの問いにちゃんとツッコミを入れられたか、といえば残念ながらそうではない。
結局美咲には、その人格をかけて対峙する相手がいなかった。私にはそう見えた。
ジウはとうとう最後まで、その存在意義が私にはよくわからなかったし、美咲は黒幕のミヤジとは言葉を交わす機会すら無かった。
あんなカキワリの様な薄っぺらい敵では、美咲が突っ込むより先に視聴者に安易なツッコミを入れられても飛んでいってしまう程度のものだったように思う。
結局、二人は自爆して吹っ飛んでしまうという結末だったが。

私は原作を読んでいないのでドラマの展開に奥行を含ませることができないのだけれど、ジウが最後にミヤジに逆らって少女を助けたのは、あそこに突然現れた美咲に説得されたから、でいいんでしょうか。
突然現れた初めて見る女の人に「あなたは両親に伝えたかったのよね?僕はここにいるって」と言われて改心するのがドラマのタイトルを背負ってるジウなんですね。
美咲の、とうとう最終回まで引っ張られた活躍する場面も、あれなんですね・・・。
爆発のシーン、私も一緒にスイッチを押してました・・・。


しかし、そういった残念な展開のドラマの中でも、やはり主役の二人の存在感は確かなものでした。
基子の、精神的には危ういものを感じさせつつも身体的にはムチのようにしなやかで強いといった特徴を、演技とアクションの両方で魅せてくれたメイサさんは流石でした。
正直言って今回のドラマの展開では、基子役がコケてたら多分総崩れだったように思います。
多部さんの美咲役は今回のドラマでは憩いの場でした。
相変わらず表情も多彩でしたし大人の女性の雰囲気も感じさせてくれました。中年男に恋する女性という役も、色んな楽しみ方を与えてくれました(個人的に)

もっとこの二人のカラミが多ければ見応えは増えたように思います。
最終回の最後の二人のやりとりがあんなにいい場面になるんだから、やっぱりこの二人の対立を軸にしたドラマを観たかった、と感じた視聴者は多かったでしょう。
ま、原作があるんだからそういうわけにはいかないでしょうけど・・・。




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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
ですよね〜何か惜しいドラマです。
最近結末がはっきりしなくて続編のためにか
ちょいと不満足ですっきりしないドラマが多いと思います。

愛がテーマのドラマで、どこに愛があるんだ?
と、探し探し、期待して観てて
最後にあれか〜って崩れました。
でも私は雨宮の愛にはちょいと感動でした。

どこか一つに焦点合わせて、
もう一度、多部ちゃん黒木さんのコンビ観たいです。
やりあう二人観たいです。


もも太
2011/09/25 18:43
私は原作を読んでおいて良かったと思っています。
でなければ、サカモトさんと同様の想いを抱いたかもしれませんので・・・、

つまり原作をまったく評価してないので、ストーリーに対する期待を持たずに観られたからですw
ハードルが低かったということですね。

ラストはドラマ用に大幅に変えてあります。
舞ちゃんは、ジウに洗脳されていて、もっと前に基子に襲いかかって、あっけなく殺されています。

まあ、原作がメチャクチャですから、あまり細部を気にしてもしょうがないのですが、主演の二人に焦点を当てて、それなりにうまく創ったと思ってます。
特に多部ちゃん的にはね(笑
yamarine
2011/09/25 23:44
>結末がはっきりしなくて続編のためにか

続編も考えられるオチでしたね。私もスッキリしません。
原作の内容は大まかに消化できたらしいんですが、この視聴率で続編はあるのかな?
私的にはこれはこれで完結でいいと思います。

>雨宮の愛にはちょいと感動でした。

雨宮と基子の出会いと別れの刹那的な感じはよかったですね。
それと比べるのもなんですが、美咲の好きだった東との関係の最後はなんだったんでしょう。美咲はそっけなかったですねー。
東に「美咲」って呼ばれてなにか気持ちに区切りがついたんでしょうか・・・。

そう考えると続きが気になる・・・。
ま、続編はいいですけど(笑
サカモト
2011/09/26 03:42
>ジウに洗脳されていて

ジウに洗脳、ですか。すごい展開ですね(笑
しかも基子に襲いかかって殺されるなんて・・・。

いい原作の場合にはドラマの端折り方の下手さにイライラしたりしますが、マズイ原作ならあまり期待せずにドラマが観られるという利点もあるんですね。

原作を読むかどうかはいつも迷うんですよ。
今回は三冊もある長編だったので迷ってるうちにドラマも終盤になっちゃいました。

私はドラマの終盤の展開にガッカリしたんですけど、裏を返せばそれまで結構楽しんでこのドラマを見てたんですよね。さあ、これからどうなる、って感じで。
結局、今年の夏ドラマも多部さんに楽しませてもらいました(笑
サカモト
2011/09/26 03:50
このドラマに関して、ここまで愛のある検討と感想を述べられている記事を読むのは初めてです。

サカモトさんのお人柄が察しられて嬉しいです(笑

私は早々に(始まる前からかもしれません)普通のドラマとしての観方はあきらめて、多部さん絡みのところだけを楽しもうと言うスタンスになってしまい、このドラマ全体に対する愛着が ・・・ 薄い(苦笑

私は腹黒い人間なので、テレビ局の裏側の意図にばかり目が行って、多部さんへの愛が足りなかったかなと反省してます。
でもこんな私でも、多部さんには救われました。
多部さんの愛は寛大です(笑
rakuyou
2011/09/27 18:18
私はyamarineさんと違って、原作をそれなりに評価してます、破綻はしてますが(笑


もし、お時間と関心があるなら原作を読まれて下さい。

テレビでは全く描かれなかった(描けない、ですが.w)
ジウ、ミヤジ、舞について、ひいてはテーマについて理解が深まると思います。
最終回がプロローグとなって、美咲と基子の新しいドラマが生まれると良いですね。
NABE
2011/09/27 22:24
いえいえ、私も似たようなものですよrakuyouさん。
1〜2話を観て、このドラマの全体的なセンスの鈍い感じが不満だったんです。
あえてそうしてるのだろう、と思って観ていましたが、このドラマに対する愛はありません。多部さんに対する愛ゆえに観ていました(笑

新世界秩序という反社会的な思想と、日常の生活を大切に生きる可愛い美咲、という対比が私には面白く見れたので、それがこのドラマのキモになってる様に勝手に私が受け取ってこういう記事になったわけです。

同時期に観ていた「それでも、生きていく」がとてもいいドラマだったことも影響してますね。

私は多部さんに、最後に突っ込んで欲しかったんですね。「なんや、新世界秩序って!」って。
それは無かったですが、最後の美咲と基子のやりとりが良かったので満足します(笑
サカモト
2011/09/28 04:06
ありがとうございますNABEさん。

このドラマでは「新世界秩序」に対比する様に美咲の庶民的な家族と恋が描かれていましたので、美咲の役割は自ずと平和な日常の側の生活感情だと思いました。

基子の役割はその間で揺れるこのお話の支点ですね。

でも対比するには「新世界秩序」が卑小すぎてバランスが悪すぎました。
まあ、多部さんファンの私では多部さんに想いが傾きすぎの感がありますが(笑

冷静に原作を読めばまた楽しめるのかもしれません。
でも3冊・・・。

続編か映画化の話があれば原作に挑んでみたいと思います。
サカモト
2011/09/28 04:22

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